基本の出汁について

基本の「き」 ― 昆布とかつお節 出汁のお話し ―

 

出汁は「味の土台」。料理の性格を左右するものです。               

昆布とかつお節の「合わせ出汁」は、使い勝手がよく幅広い料理に旨みを与えてくれます。美味しさの表現に「深み」「奥行き」といった言葉を使いますが、これを調えるのが「出汁」の役割です。

コクの元となる昆布のグルタミン酸と、味を引き締め、香りを与えるかつお節のイノシン酸。 特性の違う二つの旨み成分が融和していることが素材の持つ味のまとめにつながっていきます。

 

料理屋では、数種の昆布、かつお(魚)節を中心に、干し椎茸のもどし汁や鶏のスープなどを使い分け、味の土台になる「出汁」を用意します。

ただ、家庭でこれだけの出汁の種類を使い分けるのは大変ですし、無駄が出てしまいます。ここでは「おいしい家庭の和食づくり」に必要な基本の出汁をご紹介します。

 

出汁を取ろう!

昆布とかつお節の合わせ出汁の成分は、身体の発育、日常活動のコンディショニングに必要な栄養素です。

野菜を中心に肉・魚を合わせ出汁で加熱し、料理していくと味の良し悪しだけでなく、身体が欲す栄養を備えた料理となります。

子供の味覚の発達は脳発達と大きくかかわっているといいます。

 

食生活を調える時には、本物=安全・発達栄養であることを意識していたいと思います。

せわしない日常の中でもちょっと時間と手間をかけて、自分と家族の健康を考えて出汁取りを習慣にして頂ければと思います。

 

 

「昆布出汁」と「かつお出汁」足して合わせ出汁。

昆布は、出来れば利尻昆布、真昆布、の二種の昆布とかつを節を常備しますが、日常の料理では、無理・無駄が出てしまうと思います。

そこでおすすめなのは、ちょっと上等な真昆布です。

ちなみに、利尻昆布は、濁りのない澄んだ旨みを持ち、澄まし汁やお浸しに適していますが、醤油の利いた味付けには個性を感じないこともあります。

上質な真昆布は濁りがなく、利尻より重みのあるコクを持った出汁が取れますので、濃さの加減で幅広く使える便利ものです。

 

もう一つの出汁素材、かつお節は「薄、花、削り節」「厚削り」「枯節」などいろいろな種類がありますが、昆布と同様、ご家庭用に幅広く使えるものとしてまずは「血合い付きの削り節」をおすすめします。

この他、さば節、むろ節(むろ鰺)、煮干しと、出汁になる干し物は他にも色々ありますが、このバリエーションは出汁が安定して取れるようになられてから、違いを楽しまれると良いかと思います。

 

だしの取り方

 

昆布出汁のおすすめは「水出し」法

昆布を一昼夜水に浸け、それに、かつお節を足し、合わせ出汁を取ります。

時間の掛かる昆布だしの工程を短縮できる利点と、手元にいつでも昆布出汁があることで、プラスαの美味しさが手に入ります。

 

1、昆布の水出汁

  昆布を1日水に浸け、濁りのない昆布出汁を取ります。

目安の時間は18時間~24時間。                

材料

  水  1.2 L

  昆布 10g 15

手順         

①昆布を、軽く水にあて布巾で表面の汚れをふき取ります。

②水ポットなどの容器に、水と昆布を入れ、冬場なら常温に6時間、夏場なら2時間ほど常温に置いてから、冷蔵庫に入れておきます。これだけで、香りのある昆布出汁が取れます。

*水出汁は使える状態になってから2日ぐらいは(昆布を取り出し冷蔵保存で)使用できます。

     

 21、をベースにかつお節との合わせだしを取る

かつお出汁取りのポイントは、高い温度で調理を進めること。

 材料

   昆布の水出汁 1L

  かつお節10~12g    

手順              

①昆布を除いた昆布出汁を鍋に中強火で沸騰させる。

*昆布の利いた出汁を取りたい時や、浸水時間が足りない昆布出汁を使う時は浸けておいた昆布を、70℃まで一緒に煮て取り上げ、そこから沸騰させます。

②灰汁を取り、火を止め、かつお節を広げるように入れ、3分置き、布、ペーパーで濾します

*かつおの香りが効いた出汁が欲しいときは、かつを分量を増やし3分置いたのちに強火で沸騰さ

せ濾します。

  

一般的な合わせ出汁の取り方

材料

1L

昆布10

かつお節10~15g

 

手順

①昆布を、軽く水にあて布巾で表面の汚れをふき取り、鍋に用意した水に浸けます。

②①を約1時間置き、中弱火で熱します。

③温度が約70℃になったら、昆布を取り出し中強火で沸騰させます。

④灰汁を取り、火を止め、かつお節を広げるように入れ、3分置き、布、ペーパーで濾します

*かつおの香りが効いた出汁が欲しいときはかつを分量を増やし、3分置いたのちに強火で沸騰させ濾します。

 

内緒のはなし

毎日の料理に欠かせない「出汁」ですが、毎日料理しない、洋風の献立の日がある、とその都度の用意は面倒になってしまいがちです。

そこで、料理塾としては、よろしくない内緒のはなし。濃いめの昆布出汁をとって冷凍しておく技! あとは、鍋で溶かして沸かしてかつお節を入れるだけです。

すべての料理は、工夫からです。

 

工夫を楽しみ、日常にフィットした食生活の質を得ていただければと思います。

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