2018・12・13   我が家の味

おでんやカレーなどの定番料理を作るたびに思うのですが、昨今、家内料理の頻度が少なくなって「我が家の味」と呼べるものが、少なくなっていませんか。

何処どこの惣菜屋の味が「我が家の味」でも良いけれど、人の味覚は、本能と慣習によって形成されると言われます。平たく言えば、日々刷り込まれた味が、害なく安心で美味しいと感じる訳で、出来合いの総菜のように、商品競争の意識で作られる料理はこれには属さないと思います。

 

かく言う我が家も、仕事柄、一つの料理に幾つものバリエーションを持つので「家の味」と言うものが特定出来ませんが。

例えばおでん。合わせ出汁か、昆布だしに牛スジの煮汁か。味の当たりも酒、塩のすっきりか関西風の醤油なのか。入れる具材によって変えていく。

ちなみに、写真のおでんは美味しい練り物と新鮮な鰯で作ったつみれが揃ったので、昆布出汁に鶏手羽、酒に塩、薄口醤油ちょいで素材から染み出す旨味にまかせました。

家庭料理は、料理屋のようにいつもきちんと同じ味である必要はないと考えます。大切なのは、身体が素材の滋味を感じられるかどうか。

嘉六でご紹介している料理は、料理屋の仕事を一つ一つ検証して家庭料理の範囲内でより美味しく仕立てること、素材の個性を殺さないことを約束事としてレシピ化しています。

子供はもちろん、大人もたまには、素朴な食生活に戻して、美味しさ感性のリセットをしませんか。

 

よろしければ、言葉通り素材をサッと美味しく仕立てる、肉じゃがレシピを添えましたのでご利用ください。

 

ちょっと乱暴な作り方だけど、醤油、砂糖に頼らない、薄味でもコクのある、肉じゃがレシピです。

4~5人前

 

メ―クイーン  700g 7個くらい

人参          200g 1/2本くらい

玉ねぎ       150g 1/2個くらい

牛切り落とし    150g

白滝        100g

 

合わせ出汁    500cc

日本酒       30cc

味醂        50cc

塩         5g

薄口醤油      20cc

 

手順

1)メ―クイーンを皮を剥き、やや小さめに乱切りし水に晒す。ほかの野菜も写真の大きさを参考に切り出す。

2)白滝をあく抜きのため、下茹でし、適当な長さに切る。

3)中型の土鍋に、水を切ったメ―クイーンと他全部の材料をいれ、合わせ出汁、調味料を入れ蓋をして、中火にかける。

4)沸騰したら、軽く材料を混ぜ、鍋中を均等にする。蓋をしてそのまま中火で5分。蓋を取りメ―クイーンに火が通るまで約10分煮て火を止める。

*理想は火が通るも、少し硬さが残るくらいで火を止め、蓋をして10分~15分蒸らし時間を取る。

 

醤油、砂糖に頼らない過度のない味ですが、出汁がシッカリと利いて、肉の旨みが生きた味です。

食べる時に、ブラックペッパーでアクセントをつけるのがおすすめです。

 

 

2018・11・29  長葱たべましょ

右の写真は、在住の東京 狛江市の長葱畑。

首下をしっかり盛り土で覆って寒の入りを待っている図です。
こんなに人の手を、費やしているのに、葱は真正面から評価を受ける機会が少ない野菜だと思います。
頭に浮かぶのは、鍋に、煮物の副菜に、あとは薬味くらい
僕自身も、外食で頭に浮かぶ葱と言えば、青山のバスク料理屋 ローブリューのポロ葱のポワレ、中目黒 バル エンリケの長葱のマリネがせいぜい。
そう思うと、どうやら、葱は日本料理では皿の真ん中に置く素材では無いようです。
そこで、この冬は、是非とも葱の素材力を再認識して、美味しく、おいしく食べてもらいたいと思います。
まず、選ぶポイント。見た目は、はり、つやのある白であること。
この状態なら、しっかりとしまった鮮度のいいものと言えます。あとは、まっすぐに伸びていることも大切。芯が小さく、白い皮がしっかりと多く巻いているのが、良い長葱と言えます。
保存は、新聞紙に巻いて冷暗所で。冷蔵庫でもOKです。
さて、おすすめの食し方。
長葱と鶏手羽の小鍋仕立て、なんていかがでしょう。
味、香り、食感のバランスで食す長葱をメインとする以上、いろんなものは入れない。
そうなると、食卓に並ぶうちの、一品となり、小鍋仕立てとなります。
昆布出汁に多めの日本酒を入れて、鳥の手羽先をくつくつと煮て、煮崩れて骨が外れたら、少しの塩。
あとは、やや斜めに、コロに切った、長葱を食卓でゆっくり煮て、お好みのタイミングで口に運ぶだけ。
薄口醤油で味を調えて、そのまま。ポン酢を用意して浸けて。
柚子、柚子胡椒、胡椒の薬味たちも味を良くします。
とても簡単に、葱が主役になる一品。お試しください。

 

2018.11.7  旨すぎない 

フードライター マッキー牧元さんの、タベアルキスト 倶楽部のフレンチ探訪で、「地ビーフのロティと天然木ノ子のコンビネーション」の解説表現に ソースが旨すぎない とある。

 いい表現だと思う。

 

外食、フレンチと来れば間違いなくハレの食事だから、贅を感じる料理であることはmust

 でも、「贅の味わいとは?」と考えると、まとめる言葉がない。

 僕は、全部が、複雑で幾重にも重なった味であることが上質、贅沢なわけではないと思う。

  

味を調えることは、逆に言えば、その素材の持ち味を隠してしまう、ならしてしまうことになります。

牧元さんのコラムにある、地ビーフと天然木ノ子のは「コンビネーション」であることで完成を見る。

ならば、素材の持ち味が繊細な部分まで生きていて、それが調和を見ないといけない。

 ここで言う「旨すぎない」ソースは、素材のマリアージュの支えであり、余韻となるものでしょう。

 

これは自分のやさい料理の味の組み立てに通じるものがあります。

素材を越えない、持ち味に沿った味当たり、まとめとアクセント。これが大切。

 

同時に思うこと。 昨今の料理、既成の惣菜は、あまりにも強い味当たりになり過ぎている。

確かに強い味の方が、印象がはっきりして商品アピールとしては良いかもしれませんが

素材の味が埋もれてしまう。

食べ続けると味覚の繊細さが薄れる。

塩分糖分を取りすぎる。

いいことが思い浮かばない。

 贅のの味わいを考えていくと、普段の食の在り方を憂いてしまうのでありました。

 

 

2018.10.23  相性Ⅱ

先日の(下の)「相性」をアップしたところ、LINEなどで繋がっている昔からのHP読者から、諸々ご質問を頂きました。

その中で一番多かったのが、一食の料理同士の相性。

何と何が相性が良く、一品がこの味なら隣にはどんな味の物が来るべきか・・・流石のご質問

これ、とても大切なことです。たとえば、味が単調な料理でも、食卓の取り合わせがバランスよく、かつアクセントが利いていれば、この一食は満足するものになります。

 

そんなわけでここでは、一汁三菜の味の選択、取り合わせの、基本形を書かせて頂きます。

 

献立は、主菜を決めます。この一品は「料理」を決めるだけでなく、味のあたり(テースト)まできちんと決めます。

次に、主菜との相性を考え、汁の味と具材を考えます。御飯と一緒でも、口洗いでも、汁の役割は「口直し」と考えて下さい。。

主菜が醤油が利いた味なら、出汁と薄っすら塩の利いた味。塩やポン酢などの尖りのある味なら少し醤油が前に出た丸みのある味。造語ですが「引き立て合った」相性を目指します。

 

あとは、三菜の残り二品。

実はこれ、食事の流れ、順序で大きく変わります。

お酒を供するか、どのぐらい呑まれるのかでテーストが変わりますし、お酒の種類でも考え方が変わります。

お約束は、主菜の味が生きること。

塩味の焼き物が主菜にあるときは、醤油、味噌味。醤油味の煮炊き物なら塩、お酢の酸味がたった味。

副菜のポイントは、薄味はほどほどの量、濃い味は少量に供します。

 

要約して、書き流しましたがこの「相性」はとても大事だと常々思います。

ここに書くのはちょっといけない話ですが、忙しいとき出来合いの総菜を食卓に並べるにしろ、この取り合わせの感覚を持って選ぶと一食の美味しさが変わると思います。

 

コラムと謳いつつ、真面目な講義になりましたが、「ふ~んそうなんだ」とご拝読していただければ、きっと「どうしよう」に直面した時にお役に立つと思います。

 

  

2018.10.21 相性

「相性」をウィキペディアで調べると、人と人、物の組み合わせの良し悪し~ とあります。

(ちなみに、ウィキ以外はオール恋愛と結婚がらみのサイトでした!)

今回は料理の味わいを描くには、この「相性」が大切というお話。

 

理で相性の良さを表す言葉の一つに「出合い物」と言う言葉があります。これは旬を同じとして、相性が良い素材同士を指します。

例えば、秋の素材の代表格、松茸は香り高く食感も優れていますが、味の強さ、伸びはやはり茸ですから香りの力には及ばない。ここで登場するのが、鱧。

土瓶蒸しでは、澄んだふくよかな汁で、松茸の香りを支え、焼き合わせでは、二つの素材が口のなかで一体となって味覚中枢を満たしていきます。

 

自論ですが、素材の相性というのは「これ」と「これ」といったものではなく、互いの持ち味を引き立て、助け合う個性の縁だと思います。

松茸だって、少し季節が進み、しっかり脂の乗った甘鯛が出回りとだすと、主役は魚になり松茸は味のまとめとアクセントの役割に回る。相思相愛。フランス語の「mariage(マリアージュ)結婚」が頭に浮かびます。

 

煮炊き物がうれしい秋から冬にかけては、この相性を気軽に楽しめる季節と言えます。

基本の取り合わせは、「味の基になる主素材とそれを支える副菜、主素材に相性の良い香り」の三つ巴です。

例えば、新鮮な白身魚なら、白菜、ネギ、春菊と一緒に、ちり蒸しにして、あとは柚子の利いたポン酢で。

旨みのある鶏肉は寒玉のキャベツ、玉ねぎ、人参、セロリと煮込んで塩とマスタードで。

主素材が魚と肉で違いますが、どちらもこのセオリーに沿っています。

ちなみにこの二品、mariageとかカッコいい感じではなく「町内のおしどり夫婦」的な料理ですが、素材選びだけで、必ず口福になれます。お試しを!

 

 

2018.10.8   灰汁(あく)も味の内

6日の料理塾嘉六初回、無事終了しました!

6名のご参加で、少し寂しいかなと思っていましたが、さすが、嘉六を選んでいただく方々は、料理への愛情が違います。講義が進むにつれ質問が増え、少しでも知識を増やして帰るぞ!の意気込みが教室を温めていました。

生意気ですが、人数が増えてもこの空気感で料理を楽しんでもらえる塾でありたいと、ほんとに思いました。

 

今回の献立の枠を飛び越えた、色々なお話しもさせていただきましたがそ、その中で一つ「あ~こう言うことを伝えるべきだ」と思ったことが。

里芋と牛肉の煮物 工程のときに煮炊き物にはついて回る、灰汁(あく)の話になりました。

 

その時の様子を簡単に。

牛肉をくぐらせた、煮汁で里芋を炊き始めると灰汁が浮いてきます。

そこですかさず、江戸っ子らしきマダムが「灰汁は取らないの?」と突っ込んでくる!

いやいや、マダムそれは大きな勘違いだよ!

と、返しつつ、今ままで幾度も聞いた「煮物の味がふくよかにならない」のセリフを思い起こしました

灰汁は確かに、雑味の塊なので素材と調味料の調和の邪魔をします。

ただ、煮炊きの汁の上澄みには、灰汁と一緒に素材の油やコラーゲン質が浮かんでいるんですね。

素材を煮始めから、出てきた灰汁をずっと取っていると、この旨みとコクを支えてくれる成分まですててしまうことになります。

灰汁は、たんぱくの塊なので、おおよそ火が通ったころで丁寧に1,2回取ってあげれば、しっかり固まっているのできれいに掬えます。

特に、牛筋の煮物などは、油とゼラチン質がないとスカスカの煮物になっちゃいますからご注意を。

ざっくりのご説明ですが、これが「灰汁も味の内」の手の内でした。

 

ご案内

10月17日の回、まだ参加人数に余裕があります!お待ちしています!

11月の開催日、4日日曜日11時30~に決まりました。15日からお申し込み受け付けます。

 

 

2018.10.1   根菜

東京は台風一過の秋晴れ(夏晴れ?)です。

昨日までは少しずつ秋が深まって、夕暮れ時にそろそろ煮炊きものや鍋物が頭に浮かぶ気候と思っていたら、今日の最高気温33度!

とても鍋、煮炊きものを用意する気分ではありません。

 

鍋物はさむ〜い冬に、熱々の汁物で身体を温めたいと、頭が働いて浮かぶ料理。

煮炊きものも同様ですが、根菜の煮炊きものには、医学的に少し違う理屈があります。

身体が素材の養分を求めて、自衛本能から、食べたい気持ちになるようです。

 

芋類や南瓜は、糖を多く含むでんぷん質と繊維質が主な養分です。

この二つは、体温と基礎代謝を保つのに重要な栄養なんですね。あわせて、繊維質が体の動きが鈍る季節に、胃腸の活性化を手助けしてくれます。

 

 代謝の高い春夏は、ミネラルと水溶性のビタミンを意識して、秋冬は基礎エネルギーのもとになる糖質と植物性たんぱく質を採る。

この理は、昔ながらの日本の食生活にもつながります。

さてさて、今夜の煮物は南瓜をホッコリ炊こうか、里芋をねっとり煮ようか。

やっぱり相手は、日本酒で・・・

 

あ!本日夏日でした!

アンチョビを利かせた焼き野菜とシャルドネにチェンジ!

 

2018.9.26  初回

皆さま、こんにちは。

やっとやっとで料理塾をスタートすることとなりました。

今まで、主催者のついた教室が中心で、告知やスタッフの手当てやら、人任せの横着な状態だったのであれこれ大変です。

でも、使う素材、料理内容、取り合わせと自分自身が納得のいく物をご案内できるのはやはりストレスなく楽しいと実感しています。

 

雑記一回目ということで雑記ではなく、小宮の料理のポイントをお話ししたいと思います。

約20年前に野菜料理屋を開いたとき、やさい料理???てな、感じで「何を食べさせるの?」「サラダ屋さん?」などと要領を得ない話が飛び交った記憶があります。

なんでも信じて続けることが大事ですね(笑)

 

さて、小宮がやさい料理で大切にしているポイントは、旬を食べる、新鮮なものを選ぶ、扱いをよく考えるの三つです。旬の野菜は味、香り、栄養の高さが備わっていてまさに「身体の糧」と言えます。むろん鮮度の良さが必須条件。流通が発達した今、身のそばにない物はありませんが、鮮度となると時と場所で良し悪しが出てくると思います。ちなみに私は時折、市場に行きつつも、住まい近隣に野菜はここと、決めたお店があります。まずは目利きが良く回転の速いお店を探すことが大切です。

 

そして「扱い」

扱いとは、その野菜の個性と状態に沿って、調理法を選び、加減を決める、ということです。

例えば、茄子。塩揉み以外、ほとんどの料理で相性のいい油を使いますが、素材の含む油の量で食感、味の重みを加減します。

これが、小宮の野菜料理の「理」の部分。

あとは同じ料理でも、暑い折にはさっぱりした味の仕立て、御飯のお供ならコクを持たせると、あたりを変えていきます。

同じ時間、手間ひまを掛けるなら一つ上の美味しさが良くありませんか。

ぜひぜひ、嘉六とつながって身体の糧となる美味しい料理を自分のものにしてください。

初回は、ちょっと真面目&セールスでご勘弁。 

        

小宮拝